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光を取り込む知恵と工夫。

家の中に明るさや暖かさをもたらしてくれる太陽の光は、
心地よい生活に欠かせない自然の恵み。
昔から日当たりの良い家が多くの人から好まれてきました。

でも、季節や天候、時間帯によって、光は刻々と変化します。
だからこそ、私たちの先達である日本の大工たちは、
一定ではない光の恵みを上手に取り入れるために、
日材の強さや高さを考え、間取りや窓の位置・大きさなどを決めたり、
庇や吹き抜けを取り入れたりしながら、
一年を通して心地よい光と暮らせる知恵を磨いていたのです。

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ところが、長い年月の中で、環境や気候が徐々に変化していき、
昔ながらの伝統だけで快適性を確保することが難しくなってきています。
そこで私たちは最新技術や他の地域の伝統など多様なノウハウを学び、
芦葉工藝舎の家づくりに応用してきました。
特に参考にしているのが、京町家の建築様式です。

「表格子」や「虫籠窓」と呼ばれる格子状の造り、
表から家の奥までを貫く「通り庭」や
「坪庭」という家の中に設ける小さな庭……
今もなお受け継がれている街造りの仕組みから、
現代の光の取り入れ方を学んできました。

ただ、建物が密集するエリアや、日照条件が良くない立地、
日照が少ない季節などは、太陽の光を取り入れる工夫だけでは限界があります。
そこで注目したいのが人工の光。つまり、照明です。

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朝や昼は太陽の光の色に合わせた青白い照明を使い、
夕方からは黄色くてあたたかみのある照明で部屋を照らすなど、
自然光に近い照明を使用することで、
昼間は家の中でも日向ぼっこをしたような感覚が味わえますし、
間接照明やライトスタンドの優しい光で部屋を包み込めば、
ゆったりとしたくつろぎ効果が得られます。

明るい場所には自然と人が集まるもの。
誰かと楽しい時間を過ごすことで、家に対する愛着も自然と深まっていきます。
季節や地域の条件に合わせて光を取り入れ、心地よい暮らしを手に入れましょう。

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