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千年を超えて受け継がれてきた日本の「黄金比」。

みなさんは、「デザイン」という言葉を聞いたとき、
どんなイメージを抱きますか。
テイストの違い、配色のバランス、造形の差、機能性など、
人によって、連想するものはさまざまだと思います。

その中で、私たちが家をデザインする際に最も大切にしていることは
天井の高さや窓の位置、家具の配置場所などの「比率」。
建築の世界には、黄金比をはじめ、さまざまな数学的比率が存在しています。
その中で私たちは、”日本人が最も美しいと感じる比率”と、いわれる
白銀比を現代にも活用してきました。
白銀比とは、千年以上前に活躍した大工達が
数多の家を建てる中で見出した比率で、いわば「日本の黄金比」。

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例えば、有名な神社仏閣へと足を踏み入れたとき。
洗練された空気を感じたり、空間の美しさに魅了されたことはありませんか。
言葉では言い表せないあの特別な空気感こそ、白銀比のなせる業です。

しかしその美しさは、数ミリの誤差が生じるだけで失われてしまうほど繊細。
見た目は同じようなデザインの家であったとしても、
少しでも比率がおかしければ、一時の満足感は得られても、
長く住んでいくと徐々に違和感を感じるようになるはず。
反面、黄金比をしっかりと守っていれば、
どんなデザインの家でも自ずと洗練された空間へと仕上がってきます。

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近年では、この白銀比や黄金比を踏まえていない建築家がずいぶんと増えてきました。
住む人の好みや時代の流行を最重視して建てられた建築物もたくさんあります。

けれども、見た目のデザインの好き嫌いを分ける”嗜好”は、
時代の移り変わりや住んでいる人の成長によって変わっていくもの。

これに対して、美しいと感じる”感覚”は、
時代や文化、趣味嗜好に左右されない不変的なものです。
だから私たちは、”感覚”をつくる比率を優先して家をつくってきました。

私たちが守り続けている家づくりの比率は、
日本の気候や風土を知り尽くした歴代の大工から受け継いだ美の方程式。
その伝統を守った上で、住む人の好みや流行を取り入れること。
それが、芦葉工藝舎が考え、追求してきた「デザインの定義」なのです。

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