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今年も暑い夏が過ぎ秋を迎え、
少しずつ涼しさを感じるようになりました。
秋は「お月見」が日本の風物詩として有名です。
お月見といえば、
みなさまは「月見台」をご存じでしょうか。
その名前の通り、月を見るための場所のことを言います。
そこに立てば、夜空に浮かぶ美しい月を、
庭の池に映る水面の月夜を、一晩中眺めることができる…
京都の桂離宮にある月見台などが特に有名ですが、
昔は、寺院に限らず、月見台のある家がたくさんありました。
芦葉工藝舎でも、過去にいくつかの月見台をつくらせていただいたことがあります。
そのひとつが、渡り廊下のように部屋から部屋へと移動できる月見台です。
自宅の一室を日本舞踊の稽古場として設計したこの家は、
和のこだわりや風情を大切にしながら、
現代の雰囲気を取り入れた和モダンスタイルになっています。
庭との角度や空全体の景色を考え抜いて造った月見台。
稽古の休憩中や、家族と過ごす時間にここへ立てば、
夜空をはじめ、鮮やかな庭の景色に癒されるはず。
近年では、
月見台という言葉を耳にする機会そのものが減ってしまいましたが、
いわゆる、ウッドデッキやテラスといったスペースが、
その役割を果たしている家も多くあります。
秋の夜長に、屋上や庭に出て、
美しい月を眺めてみてはいかがでしょうか。