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「上棟式」という特別な時間。

マンションやコンクリート住宅の建設にはない、
木造住宅ならではのお祝いの儀式、
「上棟式」をご存じでしょうか。

木造住宅は骨組みとなる柱、梁をたて、
屋根の頂上へ、「棟木」と呼ばれる木材を組み立ててはじめて、
家の基本構造が出来上がります。

この節目を「棟上げ」といい、
ここに至るまでの日々に施主様が
感謝の気持ちを込めて開いてくださるお祝いの儀式が、
いわゆる「上棟式」です。

施主様と職人たちが一斉に集まって挨拶を交わし、
屋根の上からお祝いのお餅やお菓子、小銭を投げ、
終始賑やかなムードで執り行われます。

親戚や近所の方を大勢招き、盛大に上棟式をお祝いする地域もあり、
日本人らしい「結の精神」が色濃く残る伝統行事です。

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しかし、冠婚葬祭と同等の一大行事として
扱われてきた「家を建てる」という行為も、
建築技術の著しい発展によって在り方が変わり、
最近では略式も増えてきました。

それでも、施主様の喜ぶ姿やお祝いしてくださる様子を見ると、
昔と変わらず感謝の気持ちが芽生えてくるもの。

特に私たちは、工藝の技術を継承する現代の家(いえ)守(も)りです。
今もなお、機械に頼らず「手刻み」で家を建てているからこそ、
骨組みが完成したことを示す上棟式の意味は、
より深いものだと感じています。

「家をつくらせていただいている」という気持ちを改めて持ち、
最後まで無事にやり遂げる決意を、新たに固める特別な時間。
それが、私たちの考える「上棟式」なのです。

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