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素材を守りながら一年の汚れを落とす、職人の腕。

年末の大掃除は、囲炉裏やかまどに蓄積した
煤(すす)を払う「煤払い」が由来だと言われています。

一年の間にたまった汚れをキレイに払い、
新年を司る歳神様を迎える準備をする……
そんな風習が、大掃除というかたちで
現代にまで引き継がれているのです。

毎年、この時期になると「家の掃除をお願いしたい」という
ご依頼が私たちのもとにたくさん届きます。
和室やリビング、玄関といった室内をはじめ、
屋根や庇、外壁や門など、ご依頼の範囲はさまざま。
普段の掃除ではなかなか手の行き届かない場所ほど、
ご依頼いただくことが多いようにも感じます。

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掃除へ伺うのは、その家の仕上げを行った職人です。
彼らは、どんな構造で建てられたか、どんな特徴の木が使われているかなど、
その家を熟知した上で、それぞれの箇所に適した掃除を行います。

天然の無垢材は、相性の悪い洗剤や道具を使って掃除をすると、
傷ついたり、その輝きを失ってしまったりする可能性もある繊細な存在。
だから私たちは、昔ながらの掃除手法を基本としています。

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和室は畳の目に沿って竹箒で丹念に掃き、
米ぬかの油を染みこませ、かたく絞った雑巾で
無垢の床を隅々まで磨きあげていく……

一つひとつの動作に心をこめながら、
一年の汚れを落としていきます。

掃除を終えたキレイな家で過ごしていると、
自然と心も洗われていくはず。

きっと、安心して歳神様をお迎えできることでしょう。

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