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伝統を受け継ぎながら暮らしをスムーズにする「吊り引き戸」。

鴨居と敷居に彫った溝を滑らせて開閉する引き戸は、
日本発祥だと言われている扉の建築方式。
手しごとのコラムでも紹介したことがある簀戸(すど)を始め、
鏡板戸、帯戸、舞良戸、格子戸など、さまざまな種類があります。

戸の前に座り、まずは片手を引き手にかけて少しだけ開き、
次に両手をかけて体の中央まで静かに開いていく……
日本で昔から見られる美しい所作のひとつですが、
座って引き戸を開く機会はすっかり減ってしまいました。

そうした時代の変化に合わせて増えているのが「吊り引き戸」。
上部分にレールを取り付け、そこに扉を吊して開閉する形式の引き戸です。

下部分に溝をつくる必要がないため段差がなく、
バリアフリーの観点からも人気の吊り引き戸。
将来、部屋の間取りを変える際の調整が簡単だったり、
開閉時の音が気にならないソフトクローズなものがあったりと、
さまざまなメリットがあります。

機能性やデザイン性に優れた引き戸は数多く存在していますが、
せっかくなら「その家に最も相応しい吊り引き戸」を備え付けたいもの。

代々の大工から受け継いできた引き戸の技術を持つ私たちなら、
日本の伝統を感じながらも、現代の技術や形式を持ち合わせた吊り引き戸を
その家に合わせてオーダーメイドで造作することが可能です。

その家の大黒柱と同じ木材を使ってつくられたもの、
麻の葉や籠目などの伝統紋様を描いたもの、
和紙の組み合わせによって和モダンに演出したもの……

毎日手に触れる場所だからこそ、
自分らしいこだわりを取り入れてみませんか。

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