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大工たちが”一番”に望むこと。

大工といえば、昔は「寡黙な職人」というイメージを持たれていました。
弟子への指導は「師匠の背中を見て学べ」という考え方が主流で、
お客様に対しても「完成品を見せて腕の良さを伝える」ことがほとんど。
業界全体で、「語り」や「親しみ」の部分が希薄だったように思います。

芦葉工藝舎では、そうした歴史にとらわれず、
人と人との関係性を深めることを大切にしてきました。

子ども大工さんをはじめとする地域交流イベントを開催したり、
若手の大工に指導する際はコミュニケーションを重視したりと、
「大工と大工」や「大工と地域」の関係を深めるため、
さまざまなことに取り組んでいます。

その中のひとつに、月に1度、大工だけが集って語り合う定例会があります。
基本的に役員は参加せず、現場で働く大工たちが自由に語り合う場です。
大工や社会人として成長するための情報共有や仕事の悩み相談など、
業務中にはなかなか話す機会がない意見を出し合います。

後から受け取る報告書によると、
どうやら彼らは、「お客様に喜ばれるために必要なことは何か」
について話すことが多いようです。

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引き渡しの際、お客様が涙を流して感謝してくれた話で盛り上がったり、
自分の技術によってお客様が喜んでくれたと実感したときの話をしたり、
お客様に言われて嬉しかった言葉を語り合ったり……

社歴も、性格も、技術も、それぞれ違う大工たちですが、
改めて話し合う場をつくることで、一様にやりがいを感じる瞬間は、
「お客様との接点を持ったとき」だとわかったのです。

定例会を続けるうちに大工同士の結束はますます固くなり、
今では全員が「お客様に喜んでもらいたい」と考え、
同じ方向を目指して仕事に取り組んでくれています。

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お金をいただくこと、技術を磨くことはもちろん重要ですが、
それ以上に、私たちが望んでいるのは、お客様の笑顔です。
みなさまの家を建てる際は、芦葉工藝舎の大工全員で精一杯取り組み、
一番の感動を与えられるよう頑張らせていただきます。

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